「神職」の定義

本文まで移動する
新着情報

「神職」の定義

我々が自身の職業を名乗る時は「神職」と自称する事が一般的です。
では「神職」とは、どういった条件の人を指すのでしょうか?
※あくまで私見ですので、違う解釈の方も見えると思います。

キーワード
・法律、制度的に神職には定義はない。自分で「神職です」と名乗れば今日から神職。
・一般的なイメージの「神職」の大半は神社本庁神職階位保持者。

神職は、神社において祭祀を司る職種です。お寺で言うところのお坊さん(住職)、キリスト教で言う所の神父・牧師に相当し、宗教法人法上は「教師」とされる立場です。ですが「神職」は名称独占資格でも国家資格でも、登録商標でもないので、どこの誰が名乗ろうとも詐欺でも違法行為でもなんでもなく、これは仏教でもキリスト教でも、少なくとも日本国内では同様です。ですから、ある日突然何かに目覚めた(聞こえてはいけない声が聞こえた等)人が、神社的な施設を設けずに「私は神職です」と言っても、何の問題もないわけです。
これは他の職業でも同様で、例えば「私は先生をしています」と自称すると、大抵の人は「学校の先生」をイメージするかと思いますが、塾の先生(講師)かもしれないし茶道や華道の先生(師範等)かもしれないし、或いは、マナー講師的なものかもしれません。一条学校の教諭でないのにそう名乗れば詐欺ですが、ただ「先生をしています」と言うだけであれば、受け取り手がどう思うかは別として、自称としては自由です。実際、実数は不明ながらそういう方は存在し、アパートの一室で祭壇を設け「神社」であるとして自分はそこの神職、宮司である…と称する方も見えるようです。

因みに「神職」は主に明治以降の呼称で、それ以前…江戸時代は「神主」「禰宜」等と称されていました。江戸時代の「諸社禰宜神主法度」という法律などに見て取れます。「神主」は今でも一般名詞として使われますし、地域によっては神職の通称として「禰宜さん」「宮司さん」が使用されます。

しかし、世間一般に「神職」と言う場合は、概ね下記の場合かと思います。
・神職として何らかの資格を持っている
・現に神社で働いている=個別の神社に所属している

例えば教員免許を持っていても現に学校で教員として働いていなければ「先生です」とはなりませんし、学校で働いていても教員免許を持っていなければ、それは教員と言う職種ではないでしょう。神職も同様であると思います。
ここからは、神社本庁と言う包括宗教法人に包括される神社=一般に神社として想像される宗教法人の内9割以上が所属している神社、における神職の定義を記載します。

・神社本庁の出す神職資格=階位を保有している
・神社本庁より神職としての辞令が発令されている

基本的には、この二つの条件のみです。
また、辞令が発令されていなくても、神職の資格を得た後に、数年内に権禰宜等の任命を受ける前提での採用の場合は、殆どの場合において神職と見做します。これは医師における研修医、公務員における主事補に相当するものと考えて差し支えないかと思います。
また、所謂「専業であるか兼業であるか」は神職であるかどうかの定義付けには影響しません。専業兼業の判断基準が収入の比率なのか、時間の比率なのか…本業がサラリーマンや自営業の人も居れば主たる収入は年金と言う神職も多く居る中で、そこは判断基準としようがないと思います。故に、年間250日サラリーマンとして働き年数日神社で神職として勤める人も、大きな神社に雇用されそれを職業とする人も、同列に「神職」となります。

他の神道系…所謂教派神道や単立神社についてはそれぞれではありましょうが、神職(教師)足り得る条件としては概ねどこも同じ条件、即ち「指定する資格」と「辞令(任命)」を要件とする事はほぼ変わらないかと思います。

神職の資格の種類や取得方法については、説明しているサイトが多くありますので、そちらをお調べ下さい。皇學館大学や國學院大學のホームページあたりが確実かと思います。

次回は「神社本庁神職資格(階位)の意義」について記したいと思います。